小林製薬の「プベルル酸が混入した紅麹」による健康被害の問題は、製薬会社、
健康食品販売会社に限らず、自社のお客様相談室体制の緊急チェックの必要性
を教えてくれています。
食の安全に詳しい唐木英夫東大名誉教授が「ワイドナショー(フジテレビ)」で
語ったところによると、「製造工程で失敗しちゃった。製造工程の失敗っていう
のは、薬品でもなんでもあるんです。つい、最近も水虫の薬に睡眠薬が入っちゃ
った。そんなバカなことがあって、その工場は今、大変なことになっている」と
他の工場を例に出した。続けて「いくら制度を厳しくしても製造工程で失敗した
ら終わりなんです。今回はそういう事件なんです」と強調していました。
続けて「今、回収しているのはサプリだけです。サプリ以外のものは安全だと
わかってる。毒性物質は入ってません。(紅こうじ自体は)全く問題ありません。
そこが大事な点でね、紅こうじが悪いように言われているけど、紅こうじをお米に
くっつけて増やして紅こうじ製品を作る。そこに何かが入っちゃった。だから
製品が悪いんであって、紅こうじ自体は何も悪くないです」と説明しています。
さらに、「この小林製薬の紅麹サプリは、効果が高かったんですよ」とも、
番組登場の最初のあたりにポロリと言っています。あくまでもサプリですから、
「効果・効能」をメーカー側はうたうことができませんが、思わぬ一言でした。
おそらく小林製薬の開発チームは、「うたえぬ効果ではあるが、製品に自信あり!」
と思っていたのでしょう。実際に、かなりのリピーターがいたのでしょう。
ですが、これが命取りになりました。唐木東大名誉教授は「分かっていることは
すぐに発表する。情報を隠した途端に、企業への信頼がなくなる。それは心得て
もらいたい」と加えていました。
この開発部門の自信と実績の裏付けは、お客様対応部門からの「問題発生情報」
を「1件程度は検証に値しない」というルールで潰してしまうほどの強力なもの
です。ですが、このようなケースは、2000年に発生した雪印乳業食中毒事件以降、
繰り返されています。
企業は、国の制度や基準に沿った業務を行い、リスクマネジメントの徹底を図っ
ています。それでも今回のような想定していないような問題の発生は否定でき
ないのです。そうなると、企業がもっとも注意しなくてはならないことは、
「プライド、過去実績を捨てた、リスクを発見する仕組み」の構築です。
小林製薬では、1月中旬にお客様から第一報があり担当部門に報告、2月6日頃に
複数案件が報告されたことから社長に報告。3月20日に社外取締役に報告。とのこと。
私たちCS推進者がこのプロセスで注目すべきことは、1月中旬の第一報の報告内容。
まずは、「これはよくある『自分には合わなかった』というお客様の申告との
違いを明確にできていたのか」という点です。機能性表示食品、健康食品や直接
肌につける化粧品などを取り扱うお客様相談室では、丁寧に症状を受け取りながら、
考えられる説明回答を内部資料から引き出して、説明します。
当然、ルールに則り、返品・返金対応をしますが、「健康被害」「肌被害」と
「被害」を訴えられた場合には、「被害を医学的に証明すること(診断書の
提出)」をお客様に丁寧にお願いします。事案によりますが、このあたりで
お客様はさらなる苦痛を味わい、激高なさる可能性が高まります。診断書の
費用などの複雑な問題も発生してきます。
どうしようもなく、難しい次元での対応です。ですが、カスタマーセンター
などで、オペレーターが初期対応する会社では、ヒヤリングする内容「専門的な
必須聴取事項」のレベルアップを設定し、オペレーターに指導する。それが難しい
場合には、センター内に「専門的な必須聴取事項」をバトンタッチできる仕組み
を構築しておくことも一つの方法です。決してクレーム対応の二次対応、という
認識であってはなりません。
専門的な必須聴取事項は、知見をアップグレードしながら開発担当者と一緒に
CS担当者が作成する体制の構築も必要です。ですが、もっともおススメしたいのは、
全通話の適正な応対内容の分析です。オペレーターの判断では、「気づくことが
できない」ケースも想定しておくことが必要です。
明日4月10日12:30~気づきのランチレッスンです。今回のテーマは「餃子の
王将にサイエンス?!」です。
♪♪♪ CS気づきの20分ランチレッスン ♪♪♪
- 4月10日(水)に開催予定 -
当日の午前中にテーマとURLをお送りします。ぜひ、ご参加ください。
ラジオ気分で聞いてくださると午後の元気になります!
◆◇◆ 第47回 CSマネジメントセミナー ◆◇◆
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