現場責任者は本当の「問題」を見過ごしてはいないだろうか?

 ホテル、特に観光地の有名ホテルに宿泊するときには、事前期待度がグ~ンとあがります。先日、何度か宿泊したことがある有名ホテルにチェックイン。前回宿泊した時には、お風呂も食事も大満足でした。というわけで今回も。

 さすがにフロントの対応は〇でした。「前回と同じお名前でご請求書をお作りすればよろしいでしょうか?」と先手で申し出てくれます。

 いいね。荷物の運び方も丁寧。「いいホテルですね」と褒めた場面での返答も「ありがとうございます。どうぞ、ゆっくりとおくつろぎください」と丁寧。
センスが良いというほどではないけれど、当たり前に良い感じです。

 ですが、この「当たり前に良い感じ」は、やはり100%の信頼には至らないということを実感する出来事が発生したのです。

 「またか」とお思いでしょうが、こらえてくださいませ(笑)。

 こちらのホテルの大浴場は受付方式で、23:30に受付終了です。23:23分位に部屋を出て、大浴場に向いました。部屋から大浴場までは約5分。途中でエレベーターの乗り換えがあるので、急ぎ足で移動。

 すると、エレベーターに乗り継ぐ手前に「本日の大浴場の受付は23:30に終了しました」と記載があるではありませんか!!とはいうものの、致し方がなく、部屋に戻ってフロントに「なんとかならないかしら」と電話をすることに。

 ところが、部屋に戻って、時計とスマホの時刻表示を見ると、どちらも「今が23:30」なのです!そこで、「今が、23:30ですよね。まっすぐに受付に行ったら、間に合ったと思うのですが!!」と抗議。

 すると「エレベーターの前から受付に着く時間を想定して、終了表示を提示している」という趣旨の説明があり、「明朝5:30からご入浴いただけますから」とあっさりと終話。当方も呆れてしまい切電。

 何を怒っているかは読者のみなさまならば、ご想像いただけると思います。

 「誰のため、誰の利益のために、1,2分の厳密さを求めるのか?」ということのみです。気分はおさまらず、ホテルホームページのお問い合わせフォームから「誰の利益のために、1.2分の厳密さが必要なのか?個人のビジネスユースの利用者は貴社にとっては価値が低い顧客層なのか?」と投げかけました。

 4日後にホテル側から返信がありました。内容をまとめると、「おもてなしの心がない。杓子定規なフロントの対応」を詫び、23:30を終了時間と設定している理由が書かれていました。もちろん、ビジネスのお客様のお役にたちたい、という主旨のことも。

 ですが、肝心な問題への謝罪がないのです。そもそも、この問題の発端は、大浴場に向かう途中でお客様を追い返したことにあります。

 正確に言えば、「お部屋から大浴場に向かう最初のエレベーターの前を23:〇〇分までにお通りになりませんと、受付終了時間に間に合いません。
23:〇〇分にはご入場を制限させていただきます。」というような説明をチェックイン時にしていないことが問題なのです。

 とはいえ、現実的には、こんな不親切でおもてなしの心が微塵もないようなルールをお客様に説明することなんて、できはしないでしょうね。

 だからルールを曖昧にしていたことが、従業員の受け止め方次第で「心地の悪いサービス」「有名ホテルらしからぬサービス」が発生してしまう、ということなのでしょう。

 それにしても、あのフロントの彼は、「何のために」をどのように捉えていたのでしょう。そこに働き方改革・人手不足の余波を感じずにはいられません。

 「定時に大浴場担当者の仕事を終わらせてあげたい」という思いが働いていたのではないでしょうか?仲間ファーストになっていたのではないでしょうか?

 気づいてほしかったな、副支配人さんには。これが今の日本のサービスの
重たい課題なのです!

 今、CS実践に向けた取り組みやCS教育の中で改善されていないのが、この「質の高いサービスに慣れ始めている日本人が感じる真の不満(問題)」に気づく力と問題解決力です。

 2020年に向けて、「本当の問題は何なのか?」という問いかけが必要ではないでしょうか?

 11月22日のCSマネジメントセミナーでは、今から始めたい「従業員を正しく育てる方法」についても解説します。

 また、11月15日の「お客様を悪者にしない!難クレーム対応講座」では、お客様にたまりはじめている「質の高いサイレントクレーマー」に対する対応の勘所もお話します。

 多くの皆様のご参加をお待ちしております。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です