想像力の乏しさが招くコミュニケーションギャップ

 某大手不動産会社の賃貸物件管理契約部門の責任者の方から、ご相談をいただきました。(貸主から物件管理を委託されている部門のようでした)

 「お客様の立場に立つということを指導するためには、どうしたらよいのか?」という内容です。なんて難しい相談なのでしょう!みなさんも私と同じ反応ではないでしょうか。

 そこで、止む無く「日常業務の行動指針や基準に『お客様の立場に立つ』という文言はありますか?」と質問してみることに。

 すると回答は「そこまで細かくは掲げていないが、顧客価値を高めるサービスという言葉はある。そのくらいのことは誰でもわかるでしょう」とのことでした。
溜息が・・・・。

 次に「お客様の立場にたった結果を具体的に教えていただけますか?」と伺うと、「具体的にと言われると・・・」と沈黙が。さらに「今、どのような問題を抱えていらっしゃるのでしょうか?お客様の立場に立つことができない部下の方がおいで
になるということでしょうか?」と質問。

 すると、「30歳代後半の部下なのですが、貸主と借主の間に入って、右往左往しているだけで交渉事を進めることができない部下がいるのです」とのこと。

 「お客様というのは、貸主、借主の双方ですよね。」と確認すると「まぁ、言葉どおりにとれば、ですが。ウチ的には貸主を大事にしないとね。彼は、貸主の意向を借主に押し通せないんですよ」との回答でした。この人がいう「お客様の立場」
というのは貸主限定だったようです。

 つまり、建物管理料と賃貸契約手数料が売り上げなのでしょうね。

 何かが足りません!「貸主の意向を借主に押し通せない」という表現には、CSニュアンスが感じられません。基本は交渉事ですから、貸主、借主の双方の背景を踏まえながら対応するしかありません。クレーム対応を毎日しているようなもので
すから、ご苦労が多いことでしょう。

 ですが、「想像力が乏しいな」と感じます。この上司の方にしても、部下の方にしても。お客様の立場にたつということは、お客様の生活やビジネスのうえで、発生している問題がどのように影響するのか、どのようにしたいと考えているか、を
想像してみることがらはじまります。

 その結果、「どうして、このお客様はここまでおっしゃるのだろうか?」と深堀していくことがお客様対応の核心ともいうべきところです。確かに「仲介」という仕事は「板挟み」になる仕事でしょうが、お客様を深く知ることが大切です。

 責任者の方が言うような「押し通す」という考え方には、「お客様の立場に立って、ビジネスや生活を想像してみる」という要素はひとかけらもありません。貸主だけに目を向けていれば、いずれその建物やその管理会社の評判はSNSの中で酷評されていくことになります。

 想像力に欠けるお客様対応は、コミュニケーションギャップを広げます。本当は、ほんの少しだけ管理会社の担当者に想像力が働いていたら、借主も貸主も引きどころをみつけられるのではないでしょうか。

 「御社は、貸主にとってどのような価値のある会社になりたいのですか?」「御社は借主にとってどのような価値のある会社になりたいのですか?」この2つの質問を投げかけました。

 「そうですね・・・・当社の利益としては・・・そうですね」と言葉が詰まったまま、終話に。この上司もまた、想像力に欠ける管理職です。

 免震データ改ざんの問題でも同じことを感じましたが、「お客様にとって」という意識が低い企業に共通していることは、「お客様の将来、未来、生活、ビジネスを想像する力がない」ということではないでしょうか。

 まだまだCSをご理解いただけない企業様がいっぱいあるものだ、と寂しい気持ちになったご相談電話でした。

 2020年はサービスは大きく変わります。CSにも想像力と創造力が必要な時代が訪れます。ITの進化だけでは描けない「サービス」があります。

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