想定できない天災被害に思う、アナログコミュニケーションの重要性

 台風21号、北海道地震による被害に遭われました皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 こんなにも全国のお客様に安否をお尋ねし、お見舞いをさせていただくことは、過去になかったことです。本当に驚くべき状況が発生していると思うばかりです。それだけに、「誠実さ」が企業に問われるところでもあります。

 「誠実さ」なんて、こんな言葉では言い表せないものであることは承知しています。ですが、今はシンプルにお客様と向き合うことが必要だと思い、この言葉を選びました。

 さて、関西空港を運営する関西エアポート社が記者会見をしました。5日「行き届かず、申し訳ない」と陳謝しつつも、「大変な目に遭っている利用者に対してどう考えるのか」という厳しい質問に対しては「誠実に対応した」と繰り返した専務執行役員。状況を察するに、致し方のない記者会見内容なのでは、と思う。6日に行われた社長の会見は、どちらかというと「誠実に対応した」「できるだけのことは全力でやった」を強調する部分が強かったかもしれません。これもまた結果を見ればそのとおりなのでしょう。

 ですが、テレビに映し出される空港内のインタビューでは、「状況アナウンスが全くないので、何もわからず困った」「弁当の配布があったことさえ知らなかった。25時間何も食べていない」と利用者は言っています。ただ、みなさん、「しょうがないよね。まさかこんな事が起きるとは誰も思っていないもの」というニュアンスがあります。

 関西エアポートと利用者の間にギャップがあることがわかります。孤島状態になったわけですから、本来であれば「協力しあう」関係が発生することが必要なのですが。その一つの理由に、企業と利用者がコミュニケーションを取れなかったことが挙げられます。確かに停電状態、wifi停止状態、かつ緊急対応に追われる対応本部の状況は理解できます。それでも、スピーカーをもって、施設内のお客様に声をかけてまわることは必要であったと思います。

 今時、スピーカー?と言われそうですが、最後はアナログで声をかけ、声を聴く、ということしか、お客様の理解と協力を得る方法はないのです。それだけで、利用者と企業がつながります。デジタル時代の最前線に生きているビジネスマン、企業経営層には、この感性がどれほどあるのでしょうか?今回の関西空港での対応から、私たちCSにかかわる者は、この「声を聴く、声をかける」というアナログコミュニケーションの重要性と日ごろからの鍛錬を経営層に訴える必要があるのではないでしょうか。

 関西空港にも「CS向上協議会」という組織が設置されています。確かに「お声にお応えして」という改善情報がアップされています。ですが、お客様と企業の「コミュニケーション」を感じ取ることができません。

 この異常な天災被害が続く時期だからこそ、CSにかかわる私たちは、全社に向けてアナログコミュニケーションの重要性を伝えていきましょう。

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