街のクリーニング屋さんが消えていく、その先にあるものは意味的価値

 街のクリーニング屋さんが減っていくそうです。ネット型クリーニングの台頭が理由でしょうか。チェーン店化している店舗は、当然、売り上げが上がらなければ、閉店になるのは致し方がないことでしょう。

 ですが、なぜ、売り上げがあがらないのでしょうか?

 確かに感じが悪い受付の人がいれば、顧客は寄り付かなくなるかもしれません。
ですが、クリーニングに対する事前期待にしめる「受付の好感度」はどの程度の割合を占めるものでしょうか?

 クリーニング店への期待で最も大きな割合を占めるのは、「汚れを落とす技術」と「アイロン技術」ではないでしょうか。

 これもまた、細分化した解説が必要ですが、「汚れを落とす技術」は「いざ困った時に頼れる店」という位置づけであり、つかず離れずに付き合いたいものです。

 次に、「アイロン技術」に比重を置く利用者はデザイン重視の「おしゃれ」な方でしょうね。とはいっても、男女を問わずスーツは自宅で洗えるタイプのものが増えてきてはいますから、何らかの期待は持ってはいても、クリーニング総量は減りつつあります。

 さらに、3つ目の期待として、「価格」があります。ワイシャツは形状記憶が主流になりつつあり、クールビスなどの影響も重なって、クリーニングに出す人、もしくは量は減っているかもしれません。

 ですが、「やはりパリッとした襟、袖口」を好む方はクリーニングに出します。
その方にとっては、価格は期待項目に上がるでしょう。しかしながら、その「価格」もこれ以上はお安くできない、というレベルにあるようにも感じます。過当な価格競争をすれば、企業は潰れます。

 こう考えてくると、クリーニング総量は減っているかもしれないが、「技術」に対する信頼があれば、むしろ生き残れる店舗はあるはずです。

 おそらく、これから技術で生き残るクリーニング屋さんは、扱い総量は減りますから、クリーニング料金を高くするしかないのかもしれません。

 ですが、それでも、そこに「意味的な価値」が高いサービスがあれば、顧客は離れません。

 意味的な価値が高いサービスは、店舗で働く人の「気づき」からはじまります。

 目の前のお客様の背景(生活・仕事)をクリーニングを持ち込んでくださるときのご様子を観察することからはじまります。そして、会話の中で、お客様のクリーニングに対する新たな期待を読み解いていきます。

 そのためのヒントは、「クリーニングすることがどのようにそのお客様の生活やビジネスに影響するのか」を考えることです。

 あるクリーニング店では、クリーニングと同時にとれかけたボタンや袖口のほつれを無料で直してくれます。「ボタンは付け直しておきましょうか?」と訊かれ、「はい、お願いします」と言いながら、心の中では「助かった!」と思っています。仕上がったシャツをそのまますぐに着て、仕事に行くことができることは、うれしい!ものですよね。

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