味の素3520個のフライパン回収をどう読む?CS担当者の役割を検討すべし

既に多くのメディアで取り上げられているので、ご存じの方も多いと思います。

今日のテーマ材料は、味の素冷凍食品の「冷凍餃子フライパンチャレンジ」です。

そして、結論まで、ぜひ、お読みいただきたいのです。今、どのようなリスクが

モノづくり企業に押し寄せているかを知っていただきたいのです。

ことのはじまりは、ある日、Twitter(現X)上で「味の素冷凍食品の生姜

ギョーザを作ったらフライパンに張り付いた」とのツイートがギョーザの底が

フライパンに張り付いた写真つきで投稿されたことです。「油いらないって!!

 書いてたじゃん!!! 嘘つき!!!」と書かれていたそうです。

この投稿は、味の素冷凍食品の公式アカウント担当者の目にも止まり、急遽

社内で対応を話し合うことになったそうです。webメディアのインタビュー

記事では、味の素側の担当者である勝村氏が次のように答えています。

最初は『どんなフライパンを使って張り付いたんだろう?』という素朴な疑問

でした。SNSで社名と商品名をあげてもらったので、せっかくだから返信したい

という思いもあって、『研究のためにフライパンを預からせてほしい』とリプ

ライを送りました。すると、オーディエンスから『そこまでするんだ』といった

お言葉をいただきました(勝村氏)

実際には、投稿したご本人から返答がなかったそうです。当然、企業側は

「こげつく」問題への解決策を模索し、その結果を公表。「張り付きやすい

フライパンの場合は『大さじ1程度の油をひく』もしくは『弱火で10分蒸し焼き

にする』という方法で改善することが確認できた」という情報も公開しました。

ですが、「これはあくまでも再現にすぎない。味の素冷凍食品は、さらなる

研究・開発のため、『味の素の冷凍ギョーザが張り付くフライパンを持って

いたら提供してほしい』と発信した(投稿)」とのこと。それが6月16日の夜。

18日(月)には、1000個以上の段ボール箱が届いたそうです。そこで、すぐに

募集を中止し、最終的には3520個のフライパンが研究対象に。

確かに、ここまでのストーリーを読む限り、味の素の顧客不満足解決に向けた

取り組みは「半端ない」と感じます。興味深い企業行動であり、評価できるとも

感じます。本商品のヘビーユーザーである筆者も、「ウチのフライパンも実は」

と言いたいくらいでした。

ところで、CSの担当者はどのような役割を果たしたのでしょうか?

「不満投稿」に気づいたのは公式アカウント担当者ですから、いわゆる「広報」

「マーケティング」担当者です。CS担当者は、何をしたのでしょうか?

おそらく、3520個もの「不満のフライパン」が届く状況があるということは、

なんらかの「お客様の声」はお客様相談センターに蓄積されていたはずです。

なぜ、この点が記されていないのでしょうか。考えられる理由は1つです。

「お客様相談センター」の役割が正しく設定されていなかった、もしくは「よく

あるご意見は蓄積データ化」することで十分であると判断されていた、という

ことになります。

穿った見方かもしれませんが、お客様のお声を「聞く」だけを業務としてしまい、

「聴く」「訊く」をしていなかったのかも?しれません。CS担当者であれば、

Xの投稿記事には毎日、目を向けているはずです。なのに、どうして?

本来、この事案はマーケティング担当者ではなく、CS担当者が製品開発部門と

タッグを組み、対外的な発表部分をマーケや広報担当者と相談する、というのが

王道であるはずです。

どうしたのだろう?どのようにCS担当者はかかわっていたのだろうか?

この対応によって、CS担当者が業務の仕方をどのように変えたのだろうか?

と考えたくなります。

弊会はある通販コスメのお客様相談室の指導を担当していた際に、経営層に

対して「マーケティング」担当者の意見やデータには偏りがあることを指摘

してきましたが、「webマーケティング」最優先の意向を変えようとしま

せんでした。その結果、売上増なのに純利益が底を尽き、外資に吸収される

結果を招き、社長や経営層は社外へ。確かに経営層の意識に問題がありますが、

CS担当者の知識・論理性・分析力のすべてが低かったのです。

CS担当者の能力は、変化の大きな時代であるからこそ、向上させることが

必要なのです。純利益99.9%減に至った企業が相次いでいます。大手では

オムロン、キャンプ用品大手のスノーピークなどがあります。スノーピークは

外資ファンドを受け入れ、非上場化へ。

2024年のキーワードは「顧客を軸にした思考で発言できる」ということです。

今年こそ、CSスペシャリストにチャレンジしましょう!

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