顧客無視の接客マニュアルに警鐘を!

前回の記事には多くの皆様から「私も同じような経験をしました」

というお声をいただきました。そこで、今日の記事も「現場がおか

しい!」という前回記事の続編です。

 場所は関西から関東有数の観光地熱海のリゾート型ホテルへ。

そこには、「新しいサービススタイルを創ること」のみを目指して

しまった結果、「顧客を見ない」接客マニュアルが動いていました。

 まず、フロントがないことにビックリ。チェックインはタブレット

にサインするのみで完了。大人6人の同行者は居場所に戸惑う感じで、

座れる椅子に腰を下ろしていました。

 サインが終わり、館内説明などは一切なく、夕食の確認。いきなり

「ステーキ懐石のお肉の焼き方はどのようにいたしますか?」と質問。

「その質問は今なの?」と疑問を投げかけると「準備ができませんので」と。

冷たいお茶を口にしたいと願うお客様の思いは、施設の接客マニュアル

よりも軽いということらしい。

 お茶の一杯も口にしていないのに、「いきなりステーキ」とは

びっくり。さらに「お肉はサーロインとフィレのどちらがよろしい

ですか?」と質問あり。焼き方と肉はどのようにリンクするのやら。

こちらで整理して「サーロインはミディアムレア」というように回答。

あぁ、暑い中を来たのだから、ウェルカムドリンクの一杯が欲しい。

と思いつつ、部屋に案内されました。

 そして、いよいよ夕食。個室に通され、まずはドリンクオーダー。

問題はその次でした。「当ホテルのパンフレットをお読みください」

と浴衣姿の6人に手渡そうとするではありませんか。「部屋に備え

付けられているパンフで確認したから不要」というと、引き下がり

ましたが、食事終了後に再度、「お渡しすることになっているので」

と手渡そうとします。パンフレットが役立つためには順番が違います。

お客様のためではなく、マニュアルで「夕食時に渡す」となっている

ようでした。理由がわからない。

 食事中はと言えば、一人ひとりに配膳するときにどういうわけか

「恐れ入ります」と言葉を添えながら。普通は「失礼いたします」

でしょう。言葉の誤用です。「あら、一品お膳に足りないわよ」と

声をかけると「ありがとうございます」と笑顔で感謝の言葉。

お詫びの言葉はない。言葉遣いがとにかく、状況にまったく

相応しくない。

 一品お膳に不足があったとわかると慌てて配膳係の先輩、上司の

ような方が「申し訳ございません」と謝罪に来ました。ですが、

笑顔でもじもじとしており、要領をえません。別に一品足りなくても、

すぐにもってきてくれればそれでよしのはず。

 おそらく「配膳ミス」は社内マニュアルでは重いマイナス点なの

でしょう。何かがズレています。

 そもそも前日のメールのやりとりから「自分ファースト」な施設

だと感じることが頻発していました。天候等の関係によっては、

高齢者を観光に連れ歩けないので、チェックイン時間よりも早めに

着きそうである。フロントで待たせてほしい。」と連絡をした返事が

ちょっとびっくり。実際のメール文は次のとおりです。

「ご丁寧にご連絡賜りまして誠にありがとうございます。

ご予定通りご来館いただける旨お伺いし、大変うれしく思います。

ご到着は、お天気により早まる可能性がお有りとの旨かしこまり

ました。ロビーにてお待ちくださいませ。」

 旅行の背景は予約時に伝えていました。親子3代の家族旅行であり、

87歳の母がいることも。「ロビーにてお待ちください」はお客様の

立場にたった言葉であろうか、そもそもロビーラウンジらしき

スペースさえないのに。敬語、言葉遣いはかなり教育が必要。

 CSを理解したマニュアルであったら、このような場面では、

「ご状況を承知いたしました。ご高齢のお母様がおいでになること

は承知しておりますので、できるだけ早くお部屋にご案内できる

ようにいたしますが、必ずとお約束できないことが心苦しいばかり

でございます。この点はご理解のほどお願いいたします。ロビー

にて涼をとっていただき、周辺の川のせせらぎを楽しみながら、

お待ちいただきたくご案内いたします」というように、

「できないこと」の説明をするものであろう。

 おそらく、このホテルは新しいサービススタイルに必要な

「お客様とのかかわりかた」をマニュアルに落とし込むことが

できないまま、コロナ禍を通り過ぎているのであろう。某サイト

での熱海ホテルランキング2位という格付けに疑問を感じるばかり

でした。

 どのような新しいサービススタイルをデザインしようとも、

現場の「お客様の声」を無視した接客はリピートにはつながり

ません。お客様の声とマニュアルがぎくしゃくしていることを

報告しない「現場事情」が問題です。経営層に聞く耳がないので

あれば、それはクライシスに近い状態です。

 9月16日のCSマネジメントセミナーでは、

お客様相談室という切り口から、会社内部の問題点が

見えるという視点からもお話をいたします。

 ♪♪♪ CS音声ブログはこちらから ♪♪♪

     心が虚しい熱海のホテル

https://note.com/cskaoru/n/nb316f19d027c

     言葉遣いも動作も基本がない

https://note.com/cskaoru/n/n2423da1d0d92

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