緊急時に問われるホスピタリティの質

 新型コロナウィルス感染症は「正しい怖がり方をしましょう」と広報されても、治癒薬が明らかではないので、不安が募るばかりですね。だからこそ、問われるのが企業のホスピタリティです。

 銀座にある中国人観光客が押し寄せることで有名な某薬の量販店を訪ねてみました。店内では中国語が声高に響いています。中国人観光客用の通訳の方のおしゃべりです。これがやけに不愉快音に・・・・。

 普段ならば、「あら?おしゃべりが多いわね」くらいに感じるのでしょうが、今は不謹慎?に感じます。心の中にある不安が、中国というキーワードだけで反応してしまう・・・・いたし方がないことだと思います。決して、差別ではありません。抑えようのない不安です。
だからといって、何か攻撃をするわけではありません。秩序のある、わきまえのある不安と葛藤です。

 もちろん、店内はガラガラでした。そもそも銀座がガラガラです。
いつも中国人観光客で賑わう銀座6丁目のユニクロのビルもガラガラです。観光バスも1台も停まっていません。

 そんな中で、お店の男性従業員に「マスクは無いですよね・・・。
消毒液も無いですよね・・・」と「無いに決まっているわよね。でも、一応、訊かせてね」という表情で声をかけました。

 すると、彼の答えはマシンガンのように「無いですね。10時にはみなさん並んでいますから。いつ入荷があるかわからなくても10時には並んでいますから。もう10時は当たり前ですから無いですね」と言い放ちます。聞き手にしてみると「言い放つ」感じに聞こえるのです。

 悪気がないことも、事実を伝えているのもよく理解できます。ですが、そこには、「説教された」という想いしか残りませんでした。
「10時までに並ばない私が悪いのでしょうよう」とこちらが悪ぶりたくなりました。

 ホスピタリティが欠落した時の怖さはここにあるのです。緊急事態であることはわかっていても、そういうときにこそ企業姿勢が浮き彫りになるのです。ホスピタリティの伝わり方次第で、企業評価が変わります。

 このケースで言えば、「申し訳ございません。ご存知の通り、入荷日、入荷量が安定しておりません。そのため、私どもからご案内できる情報がなく、お客様が連日、10時開店前からお並びになって入荷をお待ちくださっております。当社としても、このような状況が1日も早く改善できるように手を尽くしているところでございます」というように言いたいところです。

 さらに、「どちらからお越しですか?」「お疲れではないですか?」というように声をかけ、「できることはウィルスに負けない体調管理だけです。お身体で気になっていることはおありになりませんか?」というように人の健康と暮らしにかかわる企業としての姿勢を伝える言葉を添えたいものです。

 これができていれば、大阪のKOKUMINという薬量販店のような「マスクが欲しければマスク&化粧品のセット販売を購入しろ」というような悪質な販売方法は生まれないはずです。

 今こそ、企業のCSが問われるときです。従業員の日常対応、心持、言葉をもう一度、見直してみましょう。

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