NECの「ウォークスルー顔認証」を活用した「省人化」店舗がセブンイレブンでスタートしたそうです。やはり、「無人にはしなかった」というのが率直な印象です。1名のスタッフが管理はしているそうです。
しかもセカンドショップとしての位置づけで、同じビルの1階がメイン店舗で上階にマイクロマーケットと呼ばれる小型店舗(それでも400種類の品揃え)を配置したようです。混み合うビル1階店舗であきらめた顧客を拾い上げることや、自販機との競争に勝ち抜き、などなど、戦略は多岐に広がっているようでした。
マイクロマーケットには、コミュニケーションロボットPaPeRo I(パペロアイ)が配置されています。カメラで顔認証を行い、属性に合わせた商品を音声で提案するそうです。「ご一緒にポテトはいかがでしょうか?」と同じ販促推奨。少なくとも、レジにいるだけで、「ありがとうございました」しか言わない店員よりは、売り上げ貢献力は高そうです。
その他にもターゲット広告サイネージが戦力を強めています。店内にあるスクリーンの左下に付いているカメラで年齢や性別を読み取り、適した広告をスクリーンに表示する仕組みです。明確なCRM戦略の展開です。「個客」としてセールスをするということですから。
ここなのです!省人化の最大のメリットは。もちろんAIによる適正発注システムなども威力のある仕組みなのでしょうが、「売る」ことに強くなることはすべての企業にとって魅力的なことです。しかも、購入をしない個客の分析もさらに進むことになり、一層商品開発に有用な情報が蓄積されることになります。
CSはプロセスです。結果は数字、成果は顧客創造、価値創造です。それを考えたときに、この省人化の仕組みがもたらす価値を無視することはできません。CSを単なる「おもてなし」の領域でとらえている組織、企業にとってはより意識改革が求められることになります。
CSを高めることは、結果を出すことです。そのためには、顧客接点の在り方を大きく進化させる必要があります。コミュニケーションロボットやターゲット広告サイネージと同等の顧客体験をお客様に提供する必要があるのです。そこに挑まなければ、旧態然とした顧客接点手法では、顧客を奪われるばかりです。これは対面だけではなく、ネットの世界にしても同じことかもしれません。
顧客接点にいる従業員は、どうしても「お客様に商品を押し付けたくない」と思いがちです。これは根本的に間違っています。いえ、古い考え方だ、とえます。それは、お客様が気になっていることに気づくアンテナが稼働していないだけのことです。
これからの顧客接点の教育では、システムがつくりだしている販促推奨のロジックを人間が体現できるような現場教育に変える必要があります。決して、難しいものではありません。ロジカルになる楽しみを持てれば、できることです。きっと(笑)です。