いよいよユニクロが「夏用エアリズムマスク」の製造販売に踏み切りました。4月の決算報告発表会では、「服を売るのが本業で、マスクの製造は考えていない」と否定していたのですが・・・・。
顧客からの「マスクを作ってほしい」という声に応えたとのこと。
あの柳井氏が・・・・。簡単にぶれるような方ではない。「服を売るのが本業」とまで言い切っていたのですから。
どうやって、現場従業員は「説得力の強いお客様の声」を経営層に届けたのでしょうか?少なくともトップが「やらない」と言っていることなのだから、意見の出し方を注意しないと「会社方針を理解していない」と評価されかねない。気をつかう部分ですよね。みなさんもご経験があるのではないでしょうか?
では、少しだけ現場の葛藤状況を想像してみましょう。まずは、「お声の量」をどのように報告するのか、つまり「事実」の出し方を考えてみます。
各店舗でアンケート式にするのか、自然発生のお声をカウントするのかが問題です。柳井氏の心を動かすとしたら、選ぶ方法は後者になります。
次に「事実」の背景の示し方です。どのようなシチュエーションで「マスク」の話が飛び出したのかが問題になります。 いきなり「ユニクロにはマスクはないのですか?」と店舗スタッフに切り出してくる人もいるでしょう。つまり、最初から「マスク狙い(1)」のお客様ということです。
また、他の製品を購入した際に、「ついでに(2)」質問するお客様もいるでしょう。さらに、「他の洋服メーカーがこぞってマスクを作るけれど、ユニクロはつくらないの?(3)」という興味本位的な質問もあるでしょう。そして最後に「エアリズムのマスクはつくらないの?
夏用マスクを買うならエアリズムが一番だと思うよ(4)」と核心を突いた声を発するお客様もいるでしょう。
お客様はいろいろな言葉、表現を使います。それをすべて同じに扱ってしまうと、「事実」の意義、「事実」の導く論理が構成されないことになります。ここがCS担当者の実力の見せどころなのです!
お客様の声の背景提示の書き出しを(1)(2)にしてしまったら、経営層は報告書を手に取ることもないでしょう。さらに「わかっていないね」と言われて終わるでしょう。
(3)にしたら「現場では、会社方針をお客様に伝えていないのか」とお叱りをいただくことになるでしょう。
もっとも経営層の心を動かすのは(4)ですよね。今、流れているユニクロのCMをみても「エアリズム」の機能性をアピールすることに全力をあげていることがわかります。
多くのメーカーが素材選択、機能性で勝負をしています。今年の夏は昨年並みもしくはそれ以上の暑さだそうです。エアリズムよりも高額の高機能下着であっても売れ筋になるでしょう。
この状況だからこそ、(4)の背景は経営層の心をつかみます。
とはいえ、いきなり(4)の声を出してくれるお客さまはそうそういません。そこで、誘導ではありませんが「必須キーワード」を決め、その言葉を発した人には連動会話を行い、「お声の必須要件」を満たして、カウントするという方法を使います。
※この方法は、7月5日のCS推進のための基本講座でも触れたいと思います。
さらに、CS推進の担当者は「いつから、どのような状況が発生したことを契機に「必須キーワード」法に「声の集約」を決めたのか、という説明が必要になります。
このような「お声活用」の方法を設計するのもCS推進者の仕事です。
会社方針、顧客アプローチ、デジタルマーケティング、論理的な分析手法を含めてCS推進担当者の必須能力です。CS理論を十分に理解したうえで、この設計をできる能力を目指しましょう!
6月19日(金)15時から第31回CSマネジメントセミナーをZOOMで開催いたします。ぜひ、ご受講ください。