板挟みに泣くコールセンターの実態

某カード会社のコールセンターに問い合わせをしたときの出来事です。
「現場はつらいよね」と思わず、現場リーダーらしき女性の立場の気の毒さに泣けました・・・・。

 某カード会社のグループ会社が運営するショッピングサイトで購入したのですが、商品が未着にもかかわらず請求が来るというトラブルが発生。サイト側はどうしても請求すると引かず、当方は怒り心頭!
原因は、出店店舗が商品を発送していないのに請求を起こしたことが発端です。

 さらには、ショップと連絡もとれず、2か月も経ってから知らない会社から「それらしきもの」が到着したものの、「知らない会社」なので受取拒否。普通であれば、カード請求を取り下げてくれればそれで済んだ話なのですが・・・・。

ショップ側が取り下げるを拒否しているとのことで、そのまま請求発生。ここまでのやりとりはすべてメールのみ。

 致し方なくカード会社に事情を話したところ、調査を行うとの回答あり。この時の対応はスピーディーで要領のよい電話応対でした。

ところが、3ヵ月たった今月に入り、カード会社から請求保留を解除するとのメール連絡があり、びっくり。ショッピングサイト側が調査を終了したので請求を通したい、とのこと。もちろん、またまた怒り心頭です。

 当然、カード会社のコールセンターに連絡。ところが、一次対応者がモタモタ。ナビダイヤルなのに保留時間が3分・・・。

当然、当方は切電。別のトラブル対応窓口らしい番号に連絡。だが、履歴を読み込むのに時間がかかっているようで、またまた保留。1分40秒ほど我慢をして、会話再開。しかし、回答は「ショッピングモール側から調査が終わったので請求を通して欲しいと連絡があった」とのこと。これは回答ではない!と指摘。

 調査の経緯と判断理由を伝えてくるのが当然だと指摘したところ、「そこまではわかりません」との回答。

 致し方なく、当方が不当な請求だと考えている事実を2点指摘。
話しながら、「嫌なおばさんだ!」と思われていると感じながらも次第に論理的な口調でオペレーターを追い込む。極めて「嫌なばぁばぁ」領域に突入。このあたりでオペレーターから「この時間帯のリーダー」と呼ばれる人に交代。

 残念ながら、当方が指摘していることの意味がわからない。相槌も打てないまま沈黙。「しまった!この人に何を言ってもわからない、そういうセンター教育なんだ!わかっていたはずなのに、申し訳ない」と気づき、当方はモードチェンジ。

 ショッピングモール側の対応が不当であることは然るべき対応をとればよいだけなので、このリーダーさんをこれ以上はいじめてはならない、と思い直しました。その瞬間、とんでもない一言が!

 「私の立場では何も申し上げることはできません。貴重なご意見として、社内に報告いたします」と、リーダーの口から。

 思わず!「ダメよ、そんないい加減なことを言っては!」と口走ってしまいました。

 「あなたの立場ではなんとも言えないから、貴重なご意見扱いをしておこう、と思ったのでしょうね。でも、本当に貴重な意見だとあなたは思っているの? 仮に報告したところで、その意見を取り上げてくれる上司や部門はあるの?これで問題は解決するの?
不当な請求だとあなたは感じていないの?」と諭すように言葉をつらねてしまいました。

 「つらいよね。どのように対応したらよいのかわからないのにリーダーなのだものね」「では、こうしてくるかなぁ。ショッピングモールの担当部門に、先ほど話した2点について、判断理由を説明して欲しい。説明がなければ、然るべき対応をとるとも言っていた。
と伝えてね。それと、いい加減、メールという社内対応ルールに縛られずに、正しい行動をして欲しい、というのも伝えてね」と解決に向けた道筋を提案しました。

 さらに「申し訳ないけれど、電話で話ができる部門は、つらい話が多くなるから、ショッピングモール側の担当者に〇日までには連絡をくれるようにと期限を伝えてください。それで、あなたからこの問題は手離れができるから」とも。

 応対者の声から、日常業務の疲弊のような悲しさが伝わってきました。思わず、「つらいよね。この仕事。問題がある方はメールのみで逃げる。こちらは電話だもの。嫌な話は全部ここに集まるよね。
つらいね。ごめんね」と言うと、「大丈夫です。ありがとうございます」と。

 「私の立場では何も申し上げられません」「貴重なご意見」は、お客様対応部門教育でのとんでもない「勘違い教育」の結果であろう。
何よりも「問題解決に向けた回答」の理解すら指導できていないのでは・・・・。履歴に調査結果を入力した担当者の能力にも大きな問題があります。

 コールセンター従事者に必要な能力を「コールセンターでは」という見方で定義しているのは大誤りです。リテラシー、ビジネスリテラシーが醸成されていないセンターは効率性だけで動いているようなものです。

 ちゃんと社会人としての教育をするべきです。それがなければ、単に組織間の狭間に悩み、答えをもたない存在になってしまいます。

 ひたすら強くその思いにかられました。8月28日(金)19時からのCS石川塾では、このあたりのお話を思いっきり話す30分にします。ぜひ、ご参加ください。愚痴もお聞かせくださいませ!

 また、9月11日のCSマネジメントセミナーでは、コロナ禍・オンライン化で既存の顧客接点がどのように変わるのか、というテーマでお話いたします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です