ある中華料理店が「営業自粛期間であっても、お客様とのつながりを守り続けたい」と、食材持ち込み調理を請け負うサービスを開始したそうです。お客様は好きな食材を持ち込むだけで、何種類かの料理を作ってもらいます。その手数料は1品200円。
いくら中華料理のプロとはいえ、素人が自由に選んだ食材で調理をするのは大変なことでしょうね。1ブロックの猪肉と野菜を数点持ち込んだお客様がいました。猪肉は臭みがあるので、下処理での血抜きがポイントになります。それをしていない猪肉だと、せっかくの調理も喜んではもらえないでしょう。
どのようにこのあたりの説明をしているのだろうか?と気になります。 何分に、この食材を持ち込んだ「お父さん」は、「これだけの猪肉だから」「ジビエ料理を家族に!」と強気でしたから。不満がない調理ができたとしたら、それはレベルの高いコミュニケーションによる「理解促進」「問題解決」の提示によるものでしょう。「お父さん」の期待とは少し異なった料理になったかもしれません。映像を見る限り、「ジビエ」というニュアンスではなかったですね。(笑)
あるママさんは、「野菜嫌いの子どもに食べさせたい」と野菜と豚肉を持ち込んでいました。そりゃ、プロが作れば野菜は美味しく仕上がります。ですが、ママさんが求めているのは、「子どもがずっと野菜を食べるようになること」ですから、1回限りの美味しい野菜料理であっては、目的は達成しません。
気になります。この調理人は、このママさんに何をサービスとして提供するのでしょうか?
この考え方がCSアプローチです。せっかく、プロの調理技術を安価で提供することにより、お客様との「つながり」を維持するアクションを起こしたのですから、その次のステップに進むことが大切です。それが、信頼に裏付けられた利益を生み出すことにつながります。
まとめると、最初の「プロの調理技術の提供」は満足度ステップの1です。食材の理解をしていただき、調理方法を提案することで、猪肉を美味しく調理したことは満足度ステップ2です。 そして、野菜を子どもに好きになってもらうためのサービスを提供できたとしたら、それは満足度ステップ3です。
ただし、この満足度ステップ3を実現するためには、日ごろのご家族の食生活、ママさんがよく使う調味料、調理器具などをヒヤリングすることが必要です。そして、調理のコツをアドバイスすることも必要になります。
その結果として、定期的にこの中華料理店にご家族でご来店いただき、「野菜好き」になっていくお子様の変化をお客様と共に見つめていくことをご提案します。ここではじめてパートナーシップが醸成できます。
いずれは、「野菜好きな子どもを育てるためのメニュー」ができれば、家族連れ客が増えます。地域の口コミにもインスタグラムにアップされるでしょう。外出ができない状況下でも「最後のひと手間調理セット」をデリバリーで提供することも。
この仮説はCS実現の基本的な考え方にそったものです。
(1)お客様の真のニーズを見極め、不必要なサービスは行わない。
(2)お客様とのパートナー関係を大切にし、販売・収益につながる
活動を行う。
CSを真に理解したサービス提供を行っている企業は、どのような状況にあっても、「今の正解」をお客様が教えてくれます。
「お客様と共に」を実現することは、いつでも身近に「種」があるということを忘れずに、CS推進を進めていきましょう。