代表理事の石川かおるです。今日のメールマガジンは少しだけ重たい内容です。ですが、それでもお伝えしておきたいCS推進リーダー慟哭の記録の一部をご紹介します。
8月中旬、某大手企業のA氏から、「今回、弊社の引き起こした問題への対応について、上司ならびに経営層と決裂し、退職することになりました」とのメールが届きました。
やはり・・・という想いでした。メディア等でもかなり大きく取り扱われた「不正」に関する問題でしたから、何かは起こるとは思ってはいましたが・・・・。
A氏との出会いは6年前。「いろいろな研修会社のCS教育を検討したが、当社にある根の深い問題に取り組んでもらえそうな会社がない」ということでした。某ホテルのラウンジで2時間、その本質を伺い、顧客接点を担当する社員が本社方針に苦悩しているのかを
お聞かせいただきました。なぜ、その場所がホテルのラウンジだったのか、その理由をどうぞ想像してみてください。せつないです。
のちに「どうして、初対面の私にあそこまでお話しくださったのですか?」とお尋ねすると、「法務局改革、消費者金融改革などの、普通のコンサルが面倒がるような痛みの多い案件、上層部と現場が乖離しているような案件を手掛けていらっしゃるから。その時のご経験が、私の話を聴いてくれる表情にすべて表れていました。この人に相談してみよう、と思いました」とのことでした。
A氏は、自社事例型の通信教育を開始する、というところまで上司を動かしてくれ、私もご挨拶にうかがいました。自社型カスタマイズ検定を数多くの企業様で手掛けていますが、ご要望の内容は異質でした。
「受講者である当社社員が、『現実とかけ離れている』と不満を言ってもいいから、あるべき姿を追う内容にしたい。そうでないと、今のあり様を認めたうえで、どう社員は行動するのか、という内容になってしまう。それはどうしても避けたい。企業としての正しい対応行動を目指す姿勢は崩したくないのです。それを失ったら、現場の1mmのモチベーションすら失うことになる」
この言葉はやがて現実となりました。何度も受講者の方から「内容は理解しました。ですが、自分が置かれている現実とはあまりにも異なっているので、気持ちの整理ができません」というメールをいただきました。その都度、A氏の想いをお伝えしてきました。きっとこれからも受講者がおいでになる限り、このメッセージをお伝えしたいと思っています。
現場がお客様対応に苦悩、苦慮する理由が、本社の体制や考え方、CSの本質的かつ正しい理解が希薄であるために発生するケースが世の中には数多く存在します。
本社CS推進チームのリーダーとしてA氏は、経営側にどれだけ「今回の問題での対応こそ、当社の経営姿勢が問われる場面なのです。対応時に発生するクレームなどの不満足表明を最小にするだけの取り組みが必要です。営業実績優先の方針を垣間見せては信頼の回復はできません。保障をすればよい、ということではないはずです。そこまでの対応プロセスが大事なのです!」と何度も何度も進言したそうです。お顔が目に浮かぶようです。
A氏から届いたメールの最後の言葉は、「この会社を愛し、そのために意見提言をすることが自分の役割だと信じ、30年の勤務。何も変えられなかった。去るのみです」でした。
どうして、相談してくれなかったのだろう!上層部への攻め方にも手はあるのに!と悔しい思いになりました。部外者の私に「今回ばかりは相談できないほどの現実」があったのでしょう。どれだけ、苦しい思いをなさったのでしょうか。私自身も後悔するばかりでした。
ですから、「小さな懸念」「小さな不安の種」のうちに、私にご相談ください。社内だけで考えていると、視野が限定されてしまいます。つまり、いつもと同じ思考の上で考えていると、上層部を納得させるだけの方法にたどり着かないのです。外部の知恵と経験が必要なときには、早めにご相談ください。「あなた」のお声をお待ちしております。
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